2008年07月09日
ピーの冒険 Part1
「The world of small adventure of pea」 Ⅰ
生後1年3ヶ月。
一度も室外に出たことがない彼にとって、窓から見える世界は未知なる場所である。
雲は流れ影が揺らめき、木々の隙間には光りが踊る。
小枝に遊ぶ小鳥、ユラユラと舞う蝶、気忙しく動き回る虫達。
しかし、それらは彼にとって眺めるだけの存在である。
手を伸ばしても届かない、目の前を動き回るそれらにただ右往左往するだけの彼にとっては非常に気になる存在であった。
そんなある日、彼にとって千載一遇のチャンスが訪れたのである。
いつものように彼は、家に出没するゴキブリの監視をしていたのであった。
昼間は彼のために殆どの窓を網戸だけにしてある。
それは、彼に外界の感触を少しでも味わってもらいたいからなのだが、
だからといって窓を全開放するわけにもいかず網戸という1つの障害を設けているのである。
当初はこの網戸にも不安はあったのだが、一度も手を掛けた事が無く恐らく今後も無いであろうと思っている。
(結構お利口さんである…親馬鹿)
2階から何かを玩びながら降りてきた。もしやと思ったら、やはりゴキブリだったのである。
仮死状態になったゴキブリに時折猫パンチを食らわしながら、
「どうだ!?」と言わんばかりに勝ち誇った態度でこっちを観ている。
空かさず、「お利口、お利口」といいながら、そのゴキちゃんを葬ったのであった。
このゴキは2階に上がる階段の踊り場にある窓からベランダ越しに網戸の隙間から進入してきたのであろう。
そこを運悪く巡回警備中の彼に発見され、そのまんま不運の生涯を迎えたのだった。
しかし、ここで幸運を引き寄せたのは言うまでもなく彼自身であった。
このゴキにアッタクしていた時、偶然にもいつも閉まっているはずの網戸が開いたのである。
再び、巡回した彼はその異変に気が付いた。
日頃から気になっていたというか、憧れていたというか誘惑が耐えなかった世界が今目の前に広がっている。
彼は注意深く、恐る恐る、慎重に足を運んだ。
温かく清清しい風が、鼻先を掠めた。
コンクリートの熱が肉球に伝わる。手を小刻みに振り熱さを冷ましながらながら一歩また一歩と足を進めた。
頭を低くして未知なる世界へと・・・冒険の始まりである。
この時、そのような一大事が始まっていると知る由も無くPCに向かっていたのでした。
10分ほど経過したでしょうか、彼は階段で横たわっていたのだが視界から消えている。
「もしや…」と思い、階段を上がってみると案の定その不安は的中した。
彼が余裕ですり抜ける事ができる隙間が開いているではないか!?
慌ててベランダに出てみると、彼は冒険の真っ最中であった。
私を視界に留めた彼は、咄嗟に叱られると思ったのか一階の庇に飛び移り駐車場の屋根にと移動した。
そんな時、運悪く隣家にガスの検針員が訪れたため、人に慣れていない彼は取り乱して屋根から隣の犬走りに飛び降りてしまった。
私は急いで外に飛び出したのだが、異常な興奮状態で取り乱した彼に隣家の飼い犬が追い討ちをかける。
彼の目の前で犬がほえまくる、呼吸が乱れ鼓動は激しく胸を叩く。
動揺する中で彼は逃げ場所を求めた。
そこに飛び込んできたのは、見覚えのある景色であった。
そう、それはいつも浴室の窓越しに見ていて、脳裏に焼き付けられている風景であった。
To be continued...
生後1年3ヶ月。
一度も室外に出たことがない彼にとって、窓から見える世界は未知なる場所である。
雲は流れ影が揺らめき、木々の隙間には光りが踊る。
小枝に遊ぶ小鳥、ユラユラと舞う蝶、気忙しく動き回る虫達。
しかし、それらは彼にとって眺めるだけの存在である。
手を伸ばしても届かない、目の前を動き回るそれらにただ右往左往するだけの彼にとっては非常に気になる存在であった。
そんなある日、彼にとって千載一遇のチャンスが訪れたのである。
いつものように彼は、家に出没するゴキブリの監視をしていたのであった。
昼間は彼のために殆どの窓を網戸だけにしてある。
それは、彼に外界の感触を少しでも味わってもらいたいからなのだが、
だからといって窓を全開放するわけにもいかず網戸という1つの障害を設けているのである。
当初はこの網戸にも不安はあったのだが、一度も手を掛けた事が無く恐らく今後も無いであろうと思っている。
(結構お利口さんである…親馬鹿)
2階から何かを玩びながら降りてきた。もしやと思ったら、やはりゴキブリだったのである。
仮死状態になったゴキブリに時折猫パンチを食らわしながら、
「どうだ!?」と言わんばかりに勝ち誇った態度でこっちを観ている。
空かさず、「お利口、お利口」といいながら、そのゴキちゃんを葬ったのであった。
このゴキは2階に上がる階段の踊り場にある窓からベランダ越しに網戸の隙間から進入してきたのであろう。
そこを運悪く巡回警備中の彼に発見され、そのまんま不運の生涯を迎えたのだった。
しかし、ここで幸運を引き寄せたのは言うまでもなく彼自身であった。
このゴキにアッタクしていた時、偶然にもいつも閉まっているはずの網戸が開いたのである。
再び、巡回した彼はその異変に気が付いた。
日頃から気になっていたというか、憧れていたというか誘惑が耐えなかった世界が今目の前に広がっている。
彼は注意深く、恐る恐る、慎重に足を運んだ。
温かく清清しい風が、鼻先を掠めた。
コンクリートの熱が肉球に伝わる。手を小刻みに振り熱さを冷ましながらながら一歩また一歩と足を進めた。
頭を低くして未知なる世界へと・・・冒険の始まりである。
この時、そのような一大事が始まっていると知る由も無くPCに向かっていたのでした。
10分ほど経過したでしょうか、彼は階段で横たわっていたのだが視界から消えている。
「もしや…」と思い、階段を上がってみると案の定その不安は的中した。
彼が余裕ですり抜ける事ができる隙間が開いているではないか!?
慌ててベランダに出てみると、彼は冒険の真っ最中であった。
私を視界に留めた彼は、咄嗟に叱られると思ったのか一階の庇に飛び移り駐車場の屋根にと移動した。
そんな時、運悪く隣家にガスの検針員が訪れたため、人に慣れていない彼は取り乱して屋根から隣の犬走りに飛び降りてしまった。
私は急いで外に飛び出したのだが、異常な興奮状態で取り乱した彼に隣家の飼い犬が追い討ちをかける。
彼の目の前で犬がほえまくる、呼吸が乱れ鼓動は激しく胸を叩く。
動揺する中で彼は逃げ場所を求めた。
そこに飛び込んできたのは、見覚えのある景色であった。
そう、それはいつも浴室の窓越しに見ていて、脳裏に焼き付けられている風景であった。
To be continued...
Posted by Jackal53 at 12:11